「緊急用務空域」とは
まずは、大雨に伴う災害等により被害を受けられた皆様に、心からのお見舞いを申し上げます。
index
国土交通省からの注意喚起
令和3(2021)年7月3日午後0時51分に、「国土交通省航空局 無人航空機」のアカウントから、次の「飛行自粛等注意喚起」のツイートが発出されました。
また、国土交通省の航空安全のホームページでは、「飛行自粛等注意喚起」の掲示・再掲示がされています。
災害等の発生している地域では捜索、救難、消火活動の有人機が飛行している場合があります。有人機の災害活動の妨げにならないよう、当該地域でのドローンの飛行は控えるなど、ご注意ください。
国土交通省ホームページ ホーム>政策・仕事>航空>航空安全>無人航空機(ドローン・ラジコン機等)の飛行ルール 【航空局からのお知らせ】
https://www.mlit.go.jp/koku/koku_tk10_000003.html
これらのことに関連して、「緊急用務空域」の話題が出ていたので、最近勉強した「緊急用務空域」の内容をまとめてみます。(今回「緊急用務空域」が指定されるされないの話ではないです。)
「緊急用務空域」のための航空法施行規則改正の経緯
令和3(2021)年2月に、林野火災の消火活動中に、飛行中の無人航空機が目撃されたため、消防防災ヘリが一時活動を中断せざるをえなかったことがありました。この事案をうけて、消防・救急・警察業務やそのほかの緊急用務業務に当たる航空機の飛行の安全を確保することを目的として「航空法施行規則」が改正され、「緊急用務を行う航空機が飛行する空域(緊急用務空域)を指定し、原則、無人航空機の飛行を禁止すること」となりました。
なお、こちらは航空法の施行規則ではありますが、
緊急用務空域では、(200g未満の小型無人機等含めて)ドローン・ラジコン機等の飛行が原則禁止されます。
( 200gについてはこちら )
そして、同年6月1日に同施行規則が施行され、緊急用務空域が指定できるようになったわけですが、2月の事案からこれだけの短期間で制度改正がされるのは素直にすごいと思いました。
「緊急用務空域」についての国土交通省発出の文書類
1.「緊急用務空域の設定に関するQ&A(国土交通省 航空局)」
運用ベースの話などはこちら資料がわかりやすいと思います。 リンクはこちら。
2.「無人航空機に係る規制の運用における解釈について(航空局 安全部)」
「航空局 安全部 安全企画課長・運航安全課長・航空機安全課長」の連名で発出された文書。リンクはこちら。
1〜3とドローンの勉強に必須な安全な運行のための基本からはじまり、
- 無人航空機の定義
- 飛行の禁止区域
- 飛行の方法(4+6)
- 捜索、救助等のための特例
- 屋内での無人航空機の飛行
「4.捜索、救助等のための特例」が出てきます。要は、災害対応時に、「国又は地方公共団体」や「国又は地方公共団体の依頼により捜索又は救助を行う者」によるドローンを用いた活動の根拠規定となっています。
航空法施行規則では”原則”と書かれていることからもわかるとおり、「緊急用務空域」には次の説明にあるとおり、航空法施行規則第236上の7の要件を満たすドローンは入ることができます。
4.捜索、救助等のための特例
「無人航空機に係る規制の運用における解釈について」 令和2年9月 23 日 改正(国空安企第 174 号、国空航第 1737 号、国空機第 596 号) から
航空法第 132 条の3は、事故や災害等の発生時における人命の捜索、救助等が極めて緊急性が高く、かつ、公共性の高い行為であることから、当該捜索、救助等に支障が出ないよう、航空法第 132 条の無人航空機の飛行の禁止空域に関する規定や航空法第 132条の2の飛行の方法に関する規定の適用を除外することにより、捜索又は救助等の迅速化を図ることを趣旨としたものである。
本特例については、航空法施行規則第 236 条の7により、以下の者に対して適用される。
(1)国又は地方公共団体
(2)国又は地方公共団体の依頼により捜索又は救助を行う者
また、国土交通省令で定める目的については、航空法施行規則第 236 条の8により、「捜索又は救助」と定められているが、本規定における「捜索又は救助」とは、事故や災害の発生等に際して人命や財産に急迫した危難のおそれがある場合において、人命の危機又は財産の損傷を回避するための措置(調査・点検、捜査等の実施を含む。)を指しており、当該措置を目的として無人航空機を飛行させる場合については、本特例が適用されることとなる。
なお、特例の対象となる飛行においても、飛行の安全性を確保することは言うまでもないことから、「航空法第 132 条の3の適用を受け無人航空機を飛行させる場合の運用ガイドライン」(平成 27 年 11 月 17 日付国空航第 687 号、国空機第 926 号)を参考にしつつ、無人航空機の使用者又は飛行させる者は、航空機の航行の安全並びに地上及び水上の人及び物件の安全が損なわれることがないよう安全の確保を自主的に行う必要がある。
「無人航空機」と「小型無人機」の『200グラム』の理由
おまけですが、「無人航空機」と「小型無人機等」の分け目である「200グラム」の根拠がこの文書に記されていました。
(2)無人航空機から除かれるもの
「無人航空機に係る規制の運用における解釈について」 令和2年9月 23 日 改正(国空安企第 174 号、国空航第 1737 号、国空機第 596 号) から
航空機の航行の安全並びに地上及び水上の人及び物件の安全が損なわれるおそれがないものとして、航空法施行規則第5条の2により、重量が 200 グラム未満のものは無人航空機の対象からは除外される。
重量が 200 グラム未満の無人航空機は、飛行可能時間等の機能・性能が限定されており、墜落等により人や物件に衝突した場合であっても、その被害はきわめて限定的であると考えられるとともに、主に屋内等の狭い範囲内での飛行となることによるものである。
ここで、「重量」とは、無人航空機本体の重量及びバッテリーの重量の合計を指しており、バッテリー以外の取り外し可能な付属品の重量は含まないものとする。
3.「航空法第 132 条の3の適用を受け無人航空機を飛行させる場合の運用ガイドライン(航空局 次世代航空モビリティ企画室長)」
事故や災害等の発生時における人命の捜索、救助等な安全確保の運用のために、こういったガイドライン(リンクはこちら)が整備されていたこともわかりました。